アレルギー性鼻炎についての診療を行います。
アレルギー性鼻炎は「通年性」と「季節性」に分かれます。
季節性のアレルギー性鼻炎は、そのほとんどが花粉症です。
アレルギー性鼻炎(通年性)
アレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となる物質)を吸入することで、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が出ます。風邪と違って、のどの痛みや熱などは伴いません。
アレルギー性鼻炎の原因と治療
原因は家の埃やダニの糞・死骸です。ペットのフケやカビも原因となります(血液検査によって抗体を測定することで、何に対するアレルギーかを知ることができるケースがあります)。
アレルギー性鼻炎の症状を軽くするには、とにかくダニの糞や死骸、家のほこり、ペットのフケ、カビなどアレルギーの元にさらされる状態をできるだけ避けることです。こうした策を講じた上で、抗アレルギー薬の飲み薬や鼻スプレーで症状を抑えていきます。
風邪にも注意
また、アレルギー性鼻炎がある方とそうでない方が、同じような鼻風邪(急性鼻炎)をひくと、通常、アレルギー性鼻炎がある人のほうが長引きます。急性鼻炎とアレルギー性鼻炎という2つの病気が併存することになるからです。また、急性鼻炎から急性副鼻腔炎になる可能性も高くなります。そのため、風邪をひかないような体調管理が、より大切になってきます。そして、アレルギー性鼻炎のある方が風邪をひいたときには、早めに耳鼻咽喉科を受診したほうがよいでしょう。
花粉症
日本における花粉症患者の数は増加の一途をたどっており、今や5人に1人が花粉症と言われます。まさに"国民病"の観さえ呈しています。
原因は食生活や住環境の変化により、アレルギー体質の人が増加していることや、大気汚染(ディーゼルエンジンの排気ガス)など、さまざまな要因が考えられていますが、基本的には戦後植林したスギ林の樹齢が30年を超えて花粉の量が著しく多くなっているのが大きな原因とみられています。
花粉症とは、アレルギー性鼻炎の一種で、特に植物の花粉が原因となって、立て続けのくしゃみや鼻水、鼻づまり、目の痒み、目の充血、涙などの症状を引き起こします。
スギやヒノキの花粉がよく知られていますが、これら以外にもアレルギーを引き起こす植物には、イネ科のカモガヤやハルガヤ、キク科のブタクサ、ヨモギほか、たくさんの種類があります。
花粉症の治療法
花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎は、治療を始める前にアレルギーの原因を特定することで、症状を起こりにくくすることができます。
アレルギー検査では、問診や鼻鏡検査を行うとともに、血液検査によってアレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となる物質)を特定します。その上で治療は、抗原回避(アレルゲンを近づけない環境整備)および薬物療法を中心に進めます。
治療法には、主に以下のような方法があります。
- 内服薬
- 花粉の飛散が開始する2週間前(症状の出る前)から飲み始めます。症状が出てから薬を飲み始めるのに比べて、症状が軽く済むことが多いというデータがあります。特に鼻汁、くしゃみが強いタイプの人には効果的です。
- 鼻スプレー
- 花粉症治療の効果が強く、副作用が少ないため、症状や鼻づまりが強い人には、内服薬に加えて局所スプレーを併用します。
スギ花粉症の舌下免疫療法とは
スギ花粉症の治療法の一つに、アレルゲン免疫療法があります。 アレルゲン免疫療法には、以前は皮下に注射する皮下免疫療法しかありませんでしたが、近年、舌の下に治療薬を滴下する「舌下免疫療法」が登場しました。スギ花粉を含むエキス(治療薬)の量を少量から始めて徐々に増やし、アレルギー反応を起こさないように仕向けていき、スギ花粉症を治癒に導く治療法です。 程度の差はありますが全体の70~80%の人に有効と言われます。
舌下免疫療法の実際
対象
スギ花粉症と診断された12歳以上の患者様
舌下免疫療法の詳細についてはお電話にて一度お問い合わせください。
服用期間
1日1回、少量から服用を始め、2週間は徐々に増量し、その後は決まった量を数年にわたり継続的に服用します。初めての服用はスギ花粉が飛散していない時期(6月~12月)に医師の監督のもと、行う必要があります。
服用方法
スギ花粉を含むエキス(シダトレン)を舌の下に滴下し、2分間保持した後、飲み込みます(もともと注射用に使われている薬と同じ成分ですので、極めて安全につくられおり、安全性に心配はいりません)。その後5分間は、うがい・飲食を控えます。
スギ花粉が飛んでいない時期も含め、毎日服用します。
期待出来る効果
- くしゃみ、鼻水、鼻づまりの改善
- 涙目、目のかゆみの改善
- アレルギー治療薬の減量
- QOL(生活の質)の改善
主な副作用
- 口の中の副作用(口内炎や舌の下の腫れ、口の中の腫れなど)
- 咽喉(のど)のかゆみ
- 耳のかゆみ
- 頭痛 など
重大な副作用
- ショック
- アナフィラキシー
※アナフィラキシー:医薬品などに対する急性の過敏反応です。医薬品の投与後、多くの場合は30分以内で、蕁麻疹(じんましん)などの皮膚症状や、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、突然のショック症状(蒼白、意識の混濁など)が見られます。
舌下免疫療法は、特に下記のような方にお勧めです。
- 数年内に妊娠の希望や予定は無いものの、将来的に妊娠した際に薬が使えないのが不安
- 大学などの受験期がスギ花粉症の時期と重なるので、少しでも症状を改善しておきたい
- 花粉症の薬がたくさん必要なので、減らしたい
- まだ若いので、これからも毎年花粉症に悩むことを考えると憂うつになる